こんにちは営業部の清水です。
今回は2017年日本公開の『ノクターナル・アニマルズ』です。
画像引用:2016 米 / Nocturnal Animals / Focus Features(公式FB)
ごっちゃごちゃの文字を取っ払えば日本版のポスターもデザイン良し。
2009年の、自身を投影した作品『シングルマン』(作中で主演のコリン・ファースが着用した眼鏡がバカ売れして、トム・フォードの眼鏡&サングラス人気のきっかけになったそう)に次ぐトム・フォード監督2作目のスリラー映画。
アートギャラリーオーナーのスーザン(エイミー・アダムス)は仕事は順風満帆、裕福で不自由のない暮らしを送っていましたが、どこか心は満たされない。ある時、精神の弱さに失望して別れた物書きである元夫(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた一冊の小説が届きます。
それは過去の夫からは想像もできないほど、残忍で斬新で、死に覆われた作品でした。なぜ元夫はスーザンに小説を送ってきたのか、その真意は・・・、というあらすじ。
作中随所に製作の意図を引き出すモチーフ・演出がちりばめられていますが、それらがひとつの線になることはなく、観る人によって解釈が大きく異なり、複雑でありながら、考えることのできる巧妙なストーリーテリングは快感の域です。
人生における愛や憎しみ、後悔や復讐と言った重いテーマながら、トム・フォードが撮るとなればどのシーンもモダンで洗練されて美しい。
推しのジェイク・ギレンホールと、エイミー・アダムスが共演でありますが、すっかりBBAになってしまったエイミーに愕然としながらも(スクリーンでのブレイクが遅いので元々フレッシュなイメージはないですが)、濃いメイクとハイファッションで装い、それがかえって生々しいキャラクターとなったのは監督の手腕によるものでしょう。
元夫の小説では、幸せな家族を突然の悲劇が襲います。これは、誰にでもおこりうる可能性のある悲劇。避けようにも入り込んでくる悪党どもの絶望感は、それを演じるアーロン・テイラー・ジョンソンの怪演と脚本、シーンの間によって完成されています。…ですが、彼の排泄シーンを見せられて絶句。
『アベンジャーズ』でクイックシルバーに抜擢された非常に注目度の高い俳優ですのでよろしくおねがいします。拭えないチンピラ感は否めない。
アートギャラリーのオーナーらしく、非常にファッショナブルで前衛的なスーザンのスタイリングには(トム・フォードブランドの宣伝映画ではないので、作中の衣装・小物には、トム・フォードの作品は使用していないそう)ブルガリのトゥボガスが存在感を放っています。
最先端アートギャラリーと、1970年代からのトゥボガスを組み合わせる演出はニクい。またカッコいいんですわ。昔買って眠らせている方、今でも新鮮に使えますよ。
もはやステイタス化してる、俳優のマーベル参戦にジェイクの名も挙がっていることが複雑でなりません。出なくても充分に俳優として確かな基盤を築いているのは間違いないのです。