時計好きの皆様、こんにちはアイバです。
さて私が心を痛めていることのひとつにETAのムーブメントを載せた時計を“えたぽん”(ETAをポンと載せて作るの意)などと呼び、蔑む人がいる事があります。
まことに残念な事ですね。
時計を愛する人がその様なことで良いのでしょうか?
いや良くない!
ETAのおかげで様々な時計を楽しめるのに感謝の心と愛が少ないような気がします。
ETAは本当に自社キャリバーに比べて本当に劣っているのか?
例えばETAの代表的なキャリバーに「2892-A2」がありますが、
このキャリバーの利点として
① 安い(良い事ですね。 ただしこれは長い期間大量に作った結果であり、同じようなスペックのムーブを新設計したら相当な金額になります)
② 薄い (クロノなどのモジュールを追加しても厚くならないメリットがあります)
③ 壊れにくい(④とも直結しますが複雑な事をせず、部品数が少なくシンプルに作られているためです)
④ 直しやすい(自社キャリバーでは部品が手に入り難く時間がかかるケースも)
⑤ 何気に精度がいい (大きいテンワのおかげでしょうか?)
今少しの時間の間に、私が考えただけでもこれだけメリットがあります。
逆にデメリットは何でしょう?
① 威張れない
② 沢山使われている
こんな所でしょうか。
流行りの草食系男子みたいなもので「いいひと」でインパクトには欠けるけれど、
意外にスペックは高くて付き合うとあんまり文句は無いというタイプですね。
さて、この2892ですが使い方も色々で、そのまま載せてコストをかけずに安価に売るパターン。
ボール コンダクタークラシック
このままでも十分ですが、中には仕上げを施すパターンも
ショパール ミッレミリア ロッソコルサ(すみません厳密にはベースが2892の2894です)
仕上げが施され、ネジもブルースチールに変えられています。
テンプ下の型番とETAのマークはそのままですが、開いたスペースにL U CHOPARD
と刻印されています。
(ショパールは宝飾系のイメージが強いですが意外に内部も真面目に作り込むメーカーです。)
さらに
IWC マーク15
私が知っている限りIWCは最もムーブメントに手を加えるメーカーのひとつです。
写真でお分かりになると思いますが、見えるところのほとんどに仕上げをほどこしています。
そしてもうひとつ重要な変化が・・・
通常の2852は21石ですがIWCで23石に改良しているのです。
この魔改造(?)はマーク15でも後期のモデルのムーブメントにのみ行なわれています。
(ちなみに前期は21石のままですが全て金メッキを施した手の掛かった仕上げでとても美しいムーブです。)
さらにテンプ下の刻印をIWC C30110に打ち直しも行っています。
確かにここまで手を加えるとオリジナルと言ってもいいかもしれませんね。
色々な2892をお見せしましたがいかがでしたでしょうか?
少しは“えたぽん”がいとおしくなっていただけるとありがたいと思います。
最後にお願いですがくれぐれも店頭で開けてくれとリクエストしないで下さいね。
(ヒゲゼンマイにほこりが付いて精度が悪くなったり、防水性が保証できなくなるなどデメリットがあります)