前回塗装に出したパーツを交換して気分ががっているスタッフ・タカギです。
純正のパーツは単純にサーフェイサーを塗られた状態の吊るしです。
塗装をするのはタダじゃありません。この問題がまた大きいんです。
本来違う部品を付けるのに純正と同じ塗装をワザワザ注文するところに馬鹿度を感じます。
大きさや色や配色などで金額が異なります。当然一色仕上げは一番コストパフォーマンス
いいわけです。自分で塗装をするとなると設備・テクニック・時間・天気と問題がありすぎます。
今回は知り合い価格という事で、コストパフォーマンスも仕上がりも良かったわけです。
やはり知り合いは多いほど助かります。
プロの仕上がりはお金を支払った分だけ違います。
でもって今回は少し個人的な見解が絡むような内容となります。
塗装といえば時計だと【リダン】があります。このリダンなんですが、私自身はなんとも中途半端
ですが、『場合によってはアリ』という感じです。
Redoneもしくはリフィニッシュという事ですが、主に文字盤に施されます。文字盤交換の道が
断たれた場合などがメインとなります。
やはり100%オリジナルの状態が一番望ましいと個人的には思いますが、場合によっては止む無し的な
事もあります。アンティーク/ヴィンテージなどに見られますし時間経過的に致し方ないのですが
それを理解したうえで楽しむわけです。
リダン文字盤の純正戻し。(意外に大変な問題)
例えば今新品のロレックスRef214270を買って塗り替えるなんて事はないでしょうが、
昔はよくロレックスのスポーツモデルを使っていろいろな色に塗り替えたモデルを見ました。
ここ数年見かけないのは価値観の変化なのでしょう。
何でこんな事を書くかといいますと
一年弱ほど前に入手した14270です。入手した時これはこれでアリだと思ったんですが
購入後2週間くらいで全く使わなくなりました。
理由として
なんだかやっぱり微妙な気持ちになります。
EXⅠは黒文字盤が見なれています。
そのままお蔵入りになって方々探したんです。【純正の文字盤】程度は問わず純正で!!
某オークションやら催事などこまめに探しました。
私にしてはかなり気長にやったな~って思います。そしたらものすごく身近な方から
供出してくれました。このブログでも登場するフジナワさんです。
出どころは純正とだけ書いておきます。
おおおおおおおっ文字盤と針
これを入手した時どれだけ嬉しかったか。数日自分の部屋で眺めてました。
これでリダンから普通の黒文字盤に・・・
そうすると我慢できなくなります。そうです【取付作業】に心が奪われます。
当然自分で行います。この世に少しはまともなRef.14270を復活させます。
手順は
本体とブレスは別々に・・・
当店アフターサービス部に道具を拝借します。ねじ込みの裏蓋を
やや内側を狙い、えぐり込むように打つべし
打たないですね回す回す回す!
突破口が開く!(マジックで書かれたアフターサービス部の文字が・・・)
そこそこ状態はいいみたいです。持ち主本人も初めて見ました。
Cal.3000ですね。まあシングルバックルのブレスが付いている時点で古いんですが
シリアルはN番ですので20年位は落ちているわけです。
ケースからムーブメントを外すにはリューズを先ずは外さないと
そしてオシドリピンを押せばリューズがスコッンと抜けます。
リューズ以外にも機留め(機止め)が二カ所あるわけですが、なんと過去に
素人(ヘタクソ)が触ったのか、ねじの溝が少し変形してます。
間違いなく機止めねじを普通のネジと同じ回転方向だと思い回した痕跡。
このネジは通常ネジと違い回転方向が反対になります。
ヒドイ!!さらにがっつりドライバーがなめたあとが・・・
本来ドライバーの厚みや幅は合わせてからOHの作業をおこなうものですし
作業工程でのリスクもかなり低減できます。
ムーブメントから金属スラッジが出てくる・・・。
これがスプリリングに絡まると止まります。歯車に挟まると止まります。
と裏蓋を開けてみると過去の歴戦の痕が色々と見えてきます。
※このブログを読んで真似は決しておこなわないで下さい。一切責任はおえません。
ここから
機止めも無事に回り何事もなく機械をグルンとまわします。ネジがケースに対して
ストッパーの役割を果たしているのでリューズチューブの所でネジの引っ掛かりが
解放されます。
機械とケースだけ見てしまうとよく分からないので
リューズチューブの位置と文字盤位置を見ると分かります。2時間ほどずれた位置
までまわします。そうするとはいっ!
いよいよ後半戦に向かいます。
最大の難関【針を抜き差しする】という工程にいくのですが、なぜこの工程が
難関かといいますと針にキズをつける・針を曲げてしまう・針を使い物にならなくしてしまう
リスクが沢山あるからです。
唯一の救いは
クロノグラフのように針が沢山ない時計
カレンダーが無いので位置をあまりシビアに考えなくていい
自分の時計なので普通に作業するだけ
ものすごく薄い素材です。
ちょっと何か手元が狂ったら曲げたり・文字盤にキズを付けてしまったり・・・
アア怖い・・・
しばし作業場所を変えて・・・
はり抜いて文字盤チェンジ!!!!!
うーんお昼休憩中におこなう作業じゃありません。
周りからは無謀だという声が・・・
交換も無事に終わりあとは戻すだけ・・・
ホコリをふき飛ばしながら(カメラのレンズ交換のように)
ここで何かあったら終了なので慎重に慎重に
交換終了です。うーんやはり見慣れた黒文字盤がかっこいい。
自分で重々承知して購入したホワイトリダン14270だったんですが
外した文字盤だって生きる道があります。
それはスタッフ・Dさんの14270に搭載される。
タカギ・デッドストックになってしまう事だけは避けられたようです。
思うにかなり特殊な環境にいるわけで、外したり付けたりが簡単にできてしまうから
着せ替えの様になるわけです。
※間違いなく真似はしないでください。本当に大変な事になります。
白文字盤ROLEX有名どころ
本来存在する文字盤色はしっくりきています。
ROLEX116520WH
ROLEX 16570WH
ROLEX216570WH
ROLEX116400WH
特殊作業をブログにするとかなり専門的な感じになりますね。
名作 【METALLICAの名曲】BATTERY【恐怖のバッテリー交換】
の内容を超える作品が出来ません・・・。
※個人的に名作だと思ってるだけですが・・・
それでも自分の私物を犠牲にして造り続けます。
次回は【ダイヤモンドを外せ!!】を予定しております。