IWC -IWC Schaffhausen-

IWC「インヂュニア」新作と歴代モデルのデザインや歴史を詳しく解説!

こんにちは!宝石広場のタカギです。

今回のブログは、以前に私が雑誌モノ・マガジンのヴィンテージ連載企画で書いたジェラルド・ジェンタテーマから、IWCの人気時計インヂュニアに焦点を合わせます。

このページをご覧の方でジェラルド・ジェンタとは何ぞや??という方は皆無かと思われますが、「ロイヤルオーク」をデザインし、ディズニーとコラボレーションした「レトロファンタジー」を生み出した時計界の巨匠です。

【チャールズ・ジェラルド・ジェンタ
Charles Gérald Genta)
1931-2011

1931年スイスのジュネーブで生まれ、15歳から宝石職人として従事。
23歳に宝飾品デザイナーへ転向すると独創的で美しいデザインで
頭角を現す。
初期の代表作と言われる、ラグとケースを一体型形状へ一新した「オメガ コンステレーションC」をヒットさせ時計業界にその名を轟かせると、1969年には自分の名前を冠したブランドを創設。
その後も晩年まで、自社だけでなく大小さまざまなブランドの時計を数多く手掛け、”天才時計デザイナー”として名声を極めた。

私はかつて1990年代後半にスイスの展示会で一度だけお会いしたことがあり、寡黙な紳士という印象が強かったです。今のようにスマホで記念にパシャ!とも出来ず、マエストロを前にただ緊張していました。

そのジェラルド・ジェンタによるデザインは、どれもオリジナリティあふれるデザインでジェンタの色というのが確立され、何にも似通わない強さがあります。

昨今、時計の価値や価格がかつてないほどの急激な変化を遂げています。
およそステンレス素材の時計としては高過ぎるその価格の根拠は
一体どこから?純粋なデザインによるのか?生産本数の少なさ?流通本数の少なさ?巨額な販促費をかけたブランディングによるものなのか??

人件費や原材料費の高騰による製造コスト上昇分は別として、2000年頃に10万円だった時計が、現在は軽く10倍以上の100万を超える価格として売り出されているわけです。

私も宝石広場に入社する前にスイスの時計業界で、将来的にある程度の価値がさらに付くだろうなぁと漠然と思いながら、アンティークウォッチから新作モデルまで数多く流通に関わってきましたが、それから30年以上も時が過ぎるとデイトナもノーチラスも想定を遥かに超える事になっているのが実情です。

今のスポロレだ!ラグスポだ!のバブル的な状況ですと、何をどう書いても『後出しジャンケン』みたいなのも否めないわけです。。。

時計を趣味として捉え、その時計を後世に繋ぐ、そんな考えは令和の時代にはもう古いのかもしれません。。。

ジェラルド・ジェンタに話を戻すと、過去のジェンタ作品は一時期相当量が日本国内に有りましたが現在の日本円の弱さからか、その多くは海外に流出してしまっています。

IWC新作「インヂュニア オートマティック 40」

宝石広場にも、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2023で発表された新作インヂュニア オートマチック 40が入荷してまいりました。

IWC インヂュニア オートマチック 40 IW328901
IWC インヂュニア オートマチック 40 IW328903

IWC新作「インヂュニア オートマティック 40」とは

モデル名のとおりケースサイズ40mm自動巻きムーブメント搭載の新作インヂュニアです。

まず実物を見ての第一印象は、『インヂュニアらしいデザインとバランスが戻ってきた!』というのが素直な感想です。

ジェラルド・ジェンタが1970年代にデザインした当時の美的要素を漂わせつつ、人間工学に基づいて計算された現代的なシェイプ、ラグジュアリーウォッチを思わせる細部までの上質な仕上げによる高級感と着用感。何もかもが新しいです。

↑IWC インヂュニア オートマティック40 ブラック IW328901

昨年の3月に初めてお披露目された時から誰もが、ジェラルド・ジェンタによるインヂュニアSLを引き合いに出して考察し、期待の新作として注目を集めてきました。

しかし、今から50年近くも昔に設計された「インヂュニアSL」(1976年登場)と、最新の現行「インヂュニア オートマティック 40」とでは、あらゆる面で進化の過程が多すぎて違う時計と考えて差支えはないと思います。

さらに言うと、インヂュニアジェンタデザインであるという表現は正確ではなく、「インヂュニア SL」のデザイナーがジェラルド・ジェンタであるというのが正しいです。
オーデマ ピゲのロイヤルオークはジェンタデザインですがロイヤルオーク オフショアはジェンタデザインではなくアレンジ派生の”インスパイア系”というのと同じです。

そして、鉱物由来のジルコニアを含んだ美麗なブルー色のROLEXミルガウスZブルーそっくりな、青と緑の中間のような新文字盤色アクアカラーも美麗です。

↑IWC インヂュニア オートマティック40 アクア IW328903

IWC インヂュニア INGENIEUR

▼関連ページ:【IWC 2023年NEWモデル速報】

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「インヂュニア オートマティック 40」スペック解説

新作インヂュニアの性能についても詳しく解説いたします。

■主要スペック■ IWC 2023年新作
インヂュニア オートマティック 40

・サイズ:直径40mm × 厚さ10.7mm
・ムーブメント:自動巻きCal.32111
・パワーリザーブ:120時間(約5日間)
・振動数:28,800 回/時
・防水性:10気圧
・耐磁性:4万A/m
・耐磁構造:軟鉄製インナーケース

1つ前のインヂュニアでは廃止されていたインナーケース構造が復活。耐久性と信頼性が向上した自社製のムーブメントを搭載し、それまでのインヂュニアでは42時間だったパワーリザーブ性能が120時間へと大幅にアップしました。

搭載する自動巻きムーブメントは、同じリシュモングループに属するムーブメントメーカーのヴァルフルリエ社から供給されている機械ですね。ちなみに、1つ前のインヂュニアIW357002は、セリタ社製をベースに改良したCal.35111、2つ前のインヂュニアIW323902は、ETA社製をベースに改良したCal.30111を搭載していました。

↑IWC 新作インヂュニア オートマティック40 IW328901

そしてインヂュニア最大のストロングポイントである耐磁性は、4万A/m(500ガウス)
4万A/mという耐磁性は、通常の生活であれば特に問題が無いのですが、「インヂュニア SL」が8万A/mだったので数値フェチの私としては新作はそこも合わせてほしかったです。

「インナーケース」構造は、磁気に強い軟鉄素材のインナーケースでムーブメントを保護する二重構造です。IWCの看板シリーズであるパイロットウォッチの開発時に考案され、1948年に誕生したパイロットウォッチシリーズの初号機であるマーク11で採用された構造がベースとなっています。さらにインナーケースだけではなく、インナーケースリング・インナーケースバック・文字盤も軟鉄素材を使用しています。

ロレックスの耐磁性に優れたスポーツモデルのミルガウスも、防水性に優れたオイスターケースの内部に軟鉄素材のインナーケースを収納した二重構造で耐磁性を高めています。

しかしながら、耐磁性に優れたインヂュニアもミルガウスも全く歯が立たないモデルがあります。

IWC インヂュニア オートマティック40:500ガウス(4万A/m)
ROLEX  ミルガウス 116400 : 1000ガウス(8万A/m)

OMEGA シーマスター マスターコーアクシャル15000ガウス(120万A/m)
TUDOR ブラックベイ セラミック15000ガウス(120万A/m)

磁気帯びしない非磁性素材でムーブメントを構成したオメガの超耐磁ムーブメントマスターコーアクシャルの登場は衝撃的でしたが、チューダーも自社製のムーブメントCal.MT5602に非磁性素材を導入して超耐磁へと改良した2021年登場のCal.MT5602-1Uで、オメガに続いてマスタークロノメーター認定を受けたムーブメントを開発しました!インヂュニアの30倍の耐磁性を誇ります。

目に見えない電化製品や磁石が放つマグネットパワーから解放される「耐磁性」を備えた時計。
今後さらに各ブランドが一層注力して、標準化されるのではないでしょうか。。。

▼関連ページ:【耐磁性に優れた時計ベスト5】

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ポルトギーゼポートフィノパイロットウォッチアクアタイマーと並んで現在のIWCで主力コレクションとして展開されているインヂュニアは、どのような時間を経て今に至るのでしょうか。

インヂュニア歴代モデル スペック解説

ドイツ語で技術者を表すIngenieurインヂュニアがそのままモデル名となったインヂュニアの歴代モデルとヒストリーをご紹介いたします。

初代 インヂュニア Ref.666 (1955年登場)

1955年に登場した初代インヂュニアRef.666。外見は36mmサイズのラウンドケースのスタンダードな3針時計ですが、パイロットウォッチ「マーク11」から流用した軟鉄製インナーケース構造が採用され、当時としては驚異的な80000A/mもの耐磁性を備えた特殊なタイムピースでした。

技術者や医師には歓迎されたものの、ターゲットがニッチ過ぎたのかインヂュニアの売り上げは芳しくなく、1967年にテコ入れでかなりドレッシーな方向に振ったデザインの「インヂュニア Ref.866」へマイナーチェンジします。バーインデックスからアラビア数字インデックスへ変更するなど改良が施されましたが、やはり目に見えない耐磁性の分かりにくさから大衆に受け入れられませんでした。

インヂュニア Ref.666 (1955年) 耐磁性:80000A/m

 

インヂュニア SL Ref.1832 (1975年登場)

そしてSEIKOによる高性能で安い電池式の時計が世界中の時計業界を席巻したクォーツショック真っ只中の1976年に、IWCは突破口を見出すためインヂュニアに新たなスパイスを注入します。
それこそが、2023年新作モデルの「インヂュニア オートマティック 40」がオマージュしたとして注目を集める「インジュニアSL」をデザインした時計デザイナーのジェラルド・ジェンタです。

1972年のオーデマ ピゲロイヤルオーク、1976年のパテック フィリップノーチラスで、ステンレス素材のスポーツモデルをエレガントで洗練されたタイムピースへ昇華させてきた天才時計デザイナーへ、インヂュニアの新しいアプローチを託したのです。

それまでのケースから独立したラグ形状からブレスレットまで一体型の形状となり、当時としては大き目の”ジャンボ”とも呼ばれる40mmへ拡大したケースのベゼルには5つのビス穴がセットされるなど個性をアピールするルックスへと変貌。それまでのスパルタンな質実剛健スタイルからドレッシーな要素が取り入れられました。

しかしながら、ジェンタデザインでフルモデルチェンジを果たすもヒットせず、1000本にも満たない生産数で1980年代早々に販売が打ち切られました。高級感の演出とケースの大型化により販売価格が高価になり過ぎたのと、やはりクォーツショックが原因と言われています。

インヂュニア SL Ref.1832 (1975年) 耐磁性:80000A/m

 

インヂュニア Ref.3521 (1993年登場)

それでもIWCは、ブレス一体型のケース形状やベゼルのビス穴など「インヂュニア SL」のデザインをそのままにサイズダウンしたマイナーチェンジモデルを開発し続け、1993年にはケース径が40mmから34mmへサイズダウンしたコンパクトでスリム(ケース厚10mm)なサイズのインヂュニアを発表します。

このモデル最大の特徴として、ジャガールクルト製ムーブメントを搭載し、インヂュニアで唯一となるCOSC公認クロノメーター機というレア要素で、インヂュニア好き&IWC好きから一目置かれている非常にマニアックなモデルとなっています。

インヂュニア Ref.3521 (1993年) 耐磁性:80000A/m

 

インヂュニア オートマティック IW322701 (2005年登場)

小型化を遂げた前モデルが2001年に生産終了すると、8.5mmもケース径が拡大した42.5mmのビッグなサイズでインヂュニアが再スタートします。
文字盤も大きくなり12時と6時のアラビア数字&太くなったバーインデックスと長短針でマッチョ化しました。パネライによる”デカ厚”ブームの影響なのか、磁気に強い!というアピールなのかケースの厚さも15.5mmとボリュームがあります。
当時の時流に乗って大きなサイズでモダンに進化したこちらはロングセラーモデルとなりました。

インヂュニア IW322701 (2005年) 耐磁性:80000A/m

 

インヂュニア オートマティック IW323902 (2013年登場)

ケースサイズ大型化を止めて、ケース径40mm×ケース厚10mmサイズでフルモデルチェンジします。誤操作防止のリューズガードを備えていますが、文字盤やフォルムなど外見はかなり「インヂュニア SL」に似せてきていて、ムーブメントは、ETA社製をチューンしたCal.30110を搭載しています。

敢えて耐磁性アピールしない方針になったのか、性能が少し大人しくなりましたが一般使用には十分なレベルで、端整なルックスと小ぶりなサイジングでこちらも人気を集めました。

インヂュニア IW323902 (2013年) 耐磁性:40000A/m

 

インヂュニア オートマティック IW357002 (2017年登場)

2023年新作の「インヂュニア オートマティック 40」の1つ前のモデルのインヂュニアです。ケース径40mm×ケース厚10.3mmサイズで、5つのビス穴の無いフラットなポリッシュベゼルを備えたラウンドケースの見た目ドレッシーな時計となりました。

ここでIWCらしさが出ます!ジェンタデザインの「インヂュニア SL」のDNAを断ち切って初代デザインに戻してしまうという決断です。『なんで?70年代テイストのジェンタデザインという流行のラグスポのゴールデンタイトルを捨てるんだろうか!?』これは批判ではなく初見で純粋に感じた記憶があります。
2017年は時計バブルが大きく膨らみ始め、ラグスポブームが明確となり、パテックフィリップのノーチラス(Ref.5711)が定価以上になり、それに釣られてオーデマピゲのロイヤルオーク(Ref.15400ST)も販売価格が定価に近づいていった時代です。ロレックスのデイトナ(Ref.116500LN)は200万円台でしたね。そこから間もなくして世界中でラグスポの一大ブームが始まった訳です。

ジェラル・ジェンタをデザイナーとして迎えた「インヂュニア SL」で商業的に失敗に近い経験をしているがゆえの決断だったのでしょう!この決断の良し悪しは、2023年モデルで一目瞭然です。。。

別の見方では、インナーケース構造を排したことによりクロノグラフモデルや、ダ・ヴィンチばりのパーペチュアルカレンダーモデルなど複雑機構を搭載したインヂュニアも登場し、インヂュニアのラインナップが広がりました。

インヂュニア IW357002 (2017年) 耐磁性:40000A/m

 

IWC インヂュニア INGENIEUR

インヂュニアとジェラルド・ジェンタ

2017年モデルで展開された、ロレックスのエクスプローラーIやデイトジャストを意識した?ような落ち着いたシンプル路線を棄てて、ジェンタデザインの「インヂュニア SL」をオマージュした2023年新作のインヂュニア オートマティック 40

それだけジェラルド・ジェンタによるデザインが独創的かつ普遍的、つまり偉大なのでしょう。

元々「インヂュニア」という時計が「インヂュニア SL」のデザインからスタートしたのではなく、途中からテコ入れのために外部にデザインさせて、それがたまたまジェラルド・ジェンタで、そのデザインが時代をも超越する強烈な個性だったという事なんだと思います。

↑39mmケース「オーデマ ピゲ ロイヤルオーク ジャンボ 15202ST.OO.0944ST.02」

また、個人的見解ですが、性格やバックボーンが違うのにデザインが似ているというだけで「ロイヤルオーク」や「ノーチラス」と比較してしまうのは、あまりにも短絡的だと思います。

 

そして、ジェラルド・ジェンタがデザインした「インヂュニア SL」以降のインヂュニアのデザイン担当者は、“ハノ・ブルチャー”ではないかと思います。1984年に初代が誕生したポートフィノをデザインしたIWCの主任デザイナーで、かつて『1980年代中盤は、IWCが変化を遂げた時代です。』とコメントしています。

そこから考えると「インヂュニア SL」がベースにあり、大きな変化を加えながら時には初代インヂュニアのジェンタ前のデザインにまで戻したりと、変化球のレンジが広いのがIWCの特長であり、迷走もありますが他のメーカーに流されるわけではなく明確な立ち位置を長年にわたり示しているんだと思います。素材開発や技術革新にコツコツと挑戦し続けるストイックさが魅力的なメーカーなんです。

そして、もし2017年に今回の新作「インヂュニア オートマティック 40」が登場していたらモンスターピースになっていたかも!?とも思います。
個人的にラグスポに必要な4つの重大要素↓というものを全て兼ね備えていると思います。

①美しい文字盤
新作インヂュニアでは、光沢あるラッカー仕上げ&市松模様のような細かいパターンの立体的な文字盤。じっくりと実物を見ると綺麗だと素直に実感するはずです!

②ケースデザイン
ラグスポ時計の最大条件とも言える、ケースからブレスレットへ連続した一体感あるフォルムが必須です。新作インヂュニアもケースやブレスレット細部までエッジ処理が美しく見事な仕上がりです。

③ブランドのネームバリュー
アメリカはボストン出身の時計技師「フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ」がスイスで1868年に創業したIWC。スイスの伝統的な時計製造技術とアメリカナイズされた工業技術が高い次元で融合した、ロレックスにも匹敵する質実剛健で超マジメなメーカーです。

④ジェラルド・ジェンタのDNA
ブランドのネームバリューに加えて、有名デザイナー作などのスペシャル要素が必要です。
天才時計デザイナーのジェラルド・ジェンタが1970年代にデザインをしているという事実。

今ではもうどうすることもできない、この歴史的なストーリーが最も重要です!

↑文字盤だけでなく細部まで美しい仕上がりの「インヂュニア オートマティック40」

2023年新作モデルの登場によって、今後のインヂュニアはどうなるのでしょうか!?

インヂュニアの特徴と人気の理由

大衆に向けて大ヒットを狙ったモデルではなく、医師やエンジニアに向けた特殊モデルとして誕生した「インヂュニア」。今までインヂュニアのデザインばかり解説してきましたが、つまるところデザインが重要なんです。

どれだけ”磁気に強い!”と言ってもその特徴は全く目に見えないので説得力に欠けるんです。
その特殊な耐磁性をアピールするための唯一の手段がデザインなのです。

IWCのインヂュニアは、デザイン上の正常進化だけでなく、ベンツのチューニング部門”AMG”とパートナーシップを組んだチタン素材やセラミック素材のインヂュニアAMG、46mmもの超大型ケース採用のインヂュニア・ミッションアースなど、お家芸の迷走?とも言える多種多様なインヂュニアを生み出してきました。

↑過去モデルと並べるとソリッド&シャープなデザインが引き継がれているのが分かります

ポルトギーゼのような優しいカーブを描いた曲線基調のケースではなく、エッジの効いたシャープでスポーティーなケースデザインこそが「インヂュニア」が人気の理由なのです。

↑左から2番目IW322701の大型42.5mmケースのボリューム感がひときわ目立ちます

ケースデザインやケースサイズによる見た目のインパクトも重要ですが、ケースの厚さ、裏蓋の形状、重量など細部まで計算されたフォルムによるフィット感も腕時計では重要です。

↑新作のインヂュニアは厚さ10.7mmケース&細かいコマ形状で腕に快適にフィットします

ケースの圧倒的な大きさや厚さで最強の防水性をアピールする、ロレックスのプロフェッショナルダイバーズウォッチシードゥエラー ディープシーチャレンジ Ref.126067という超絶モデルも存在しますが、インヂュニアでも耐磁性を追求するとケースが厚くボリューミーになってしまいます。

そこで2013年以降のインヂュニアは、耐磁性を80000A/mから40000A/mとして、その分ケース厚を抑えて快適性を優先しています。

▼関連ページ:【ROLEX最大・最強・最新ダイバーズ ロレックス ディープシー チャレンジ】

【遂に入荷!】ROLEX最大・最強・最新ダイバーズ【ロレックス ディープシー チャレンジ Ref.126067】こんにちは!モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』で”ネオヴィンテージウォッチ”に関する記事を連載中のマサル・タカギです。 前回...

インヂュニアの人気や相場価格の今後は?

個人的感想と今までの展開やパターンからすると、新作モデルの登場のたびに廃盤となったり中古市場での流通数が少なくなる旧モデルが2~4倍ぐらい相場価格が上がっていきます。

しかし、ここを読んでいただいている皆様にお伝えしたいのは、確実な未来は誰にも予測不能で、相場は常に進行形で、新作発表と共に相場には織り込み済み。既に相場価格が上がってしまっているという事です。。。

インヂュニアの人気に関しては、パイロットウォッチマークシリーズやフラッグシップモデルのポルトギーゼを凌ぐような人気と知名度を誇る状況にまでなれるかどうか、すべてIWC戦略次第でしょう。

↑IWC インヂュニア オートマティック40 ブラック文字盤 IW328901

しかしながらIWC以外のメジャーモデルをも覆すには、耐磁性という独特な個性が強すぎます。

マラソンをしないと入手不可能なスポーツロレックスのような販売数や生産数のコントロール、ブームを作り出すメディアコントロールは、IWCとは無縁でしょう。

さらに!
原材料価格・人件費・物流費・燃料費など生産コストの上昇もあるかと思いますが、ラグジュアリースポーツウォッチへ振り過ぎたため、定価が1つ前のモデルよりも100万円ほど高くなったという点もネガティブな要素です。。。

ハッキリと言えるのは、新作の「インヂュニア オートマティック 40」は、これから世界中で流通数が増えて、中古市場でも商品数が増えてくると相場が安定してくると断言できます。

※新作「インヂュニア オートマティック 40」は、世界各国でデリバリーが始まって日本でも市場に出始めた2023年10月頃は、高い注目度により初モノ価格として日本定価(税込み1,694,000円)以上の180万円から200万円に近い相場価格でしたが、2024年の1月現在は日本定価と同じ価格帯に落ち着いています。

IWC インヂュニア INGENIEUR

IWC新作「インヂュニア オートマティック 40」まとめ

今回発表された新型インヂュニアに関してタガギ的には非常にカッコよく感じ、”インヂュニアらしさ”という部分が非常に濃い!ところがおススメのポイントです。

要点をまとめると、機能性に優れた時計なのですが「インヂュニアは大人気モデルです!」と言ってしまうには違うのかと思います。
人気とかブームに頼るような時計ではないのです!

耐磁性という特殊な性能と、全体のデザインが好きであるという事で選択し、見た目で分からなくても自分の個性であるという事を強く主張できる時計であることは間違いないです。

ロレックスで表現するなら『ミルガウスはデイトナを超えない!』ということです。

IWCの「パイロットウォッチ」や「アクアタイマー」のような機能性が分かりやすいスポーツモデルと違って、ジェラルド・ジェンタによるラグジュアリースポーツウォッチのテイストを最大限にフォーカスした上質なスポーツモデルの新作「インヂュニア オートマティック 40」は、良いとこ取りの時計で、今後はさらに人気モデルとなる可能性がある!ということです。

 

宝石広場ではIWC の主力スポーツコレクションインヂュニアを新品から中古品まで多数取り揃えております。

是非ともIWCのインヂュニア、2024年以降もご注目ください!それでは。

IWC インヂュニア INGENIEUR

 

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【宝石広場 店頭スタッフ:時計業界歴30年以上? / 好きなブランド:ロレックス】90年代に本場スイスで時計業界に携わっていました。 最近痛感したのはいつの間にかビンテージ”になってしまった90年代後期の時計達を見ながら、自分がこの業界に入った時は現行新品でしたという現実。 バイクと時計をこよなく愛し終わらない機械式人生を過ごしてます!

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