スタッフ アイバです。
パテックの独自規格「パテック・フィリップシール」が刻印された新品が珍しくなくなってきました。
ジュネーブシールを上回るクォリティーを基準にしたこの規格ですが、
個人的にはどうしてもジュネーブシールのマークに愛着がありまして、
良いのは分かっているのですが、どうもピンと来ないのです。
クオリティーだけではない、ジュネーブという都市の歴史の重みというか、
ロマンというか、なんて言ったらいいんですかね。
そんなものをジュネーブシールに感じていたような気がします。
もちろん、今までもパテックは無条件にジュネーブシールを許されていたわけだし、
ジュネーブシールの95%がパテックと言われているので、
パテック=ジュネーブシールで変わらないっちゃ変わらないのでしょう。
でもね・・・
何か淋しい気がするのは私だけですか?
ジュネーブの紋章ってカッコいいですしね。
さて、独自規格と言えば、
ルクルトのマスターコントロール規格をはじめ色々ありますが、
セイコーが誇る「グランドセイコー規格」もその一つです。
クロノメーターを上回る精度を要求されるこの規格。
今回はこの「グランドセイコー規格」に関わる時計を紹介したいと思います。
この二つの時計ですが、パッと見は一緒に見えます。
(片方はデイ、片方はデイデイトですが、どちらもそれぞれ存在するので気にしないで下さい)
ひとつは62グランドセイコー、
もう片方は62セイコーマチッククロノメーターといいます。
違いは、モデル名・・・だけです。
ケースデザインはもちろん、中のムーブメントも一緒。
なぜこんなことが起こったかと言いますと、
①1966年 62セイコーマチッククロノメーター発売
②「国際クロノメーター管理委員会(CICC)」からクレーム入る
③仕方が無いのでGS(グランドセイコー)規格設立
④62セイコーマチッククロノメーター→62グランドセイコーヘモデルチェンジ
という流れです。
クレームが入った理由は、クロノメーターとは
公的機関としてのスイスの「クロノメーター協会」の検定を指し、
各々のメーカーが勝手に名乗ることは許されないという、ごもっともな言い分でした。
まぁ、確かに勝手に自分で検査してパスしてますで通るのなら、
JⅠSもISOもいりませんよね。
日本にはクロノメーター検定機関が無いということから、
それと同じテストを行い販売していたのですが、
ダイヤルにクロノメーターと入れるは、自作の「クロノメーター合格証」は付属させるはで、
ちょっとやりすぎちゃった感が否めないのも事実です。
(セイコーは1964年より、ニューシャテル天文台精度コンクールで
スイスの一流ブランドと競い合い、優秀な成績を収めており、
精度について絶対的な自信があったのでしょう)
そんなわけで、約1年の短い生産期間を経て、
62セイコーマチッククロノメーターは、
1967年クロノメーターを上回る独自の精度基準をパスさせた、
初の自動巻きのグランドセイコー「62GS」に生まれ変わります。
ちなみに、この年のニューシャテル天文台精度コンクールで恒例の順位発表が中止。
翌年からはコンクール自体が行われなくなります。
これはセイコーがあまりにも好成績を収めていたためと言われています。
1968年には日本でもクロノメーターが取れるようになりましたが、
そこは男セイコー、クロノメーターの軍門に下らず、GS規格にこだわります。
そして、精度の鬼と化したセイコーは、
1969年の世界初の腕時計クォーツ発売へと突き進んでいくのです。
結果的にこのモデルは、それぞれの生産期間が短いため
(次の61GSへすぐにモデルチェンジ)、
予想外なレア物に・・・。
ゴールドキャップは更に個数が少ないと言われていますのでレアの二乗、
62クロノ・62GS、二つ揃ってレアの四乗になっています。
コレクション用に二つまとめていかがでしょうか?
ちなみにお値段は両方とも保証なしでお安めの13万8000円です。
(セット売りではありませんのでバラバラでもどうぞ)。
本当は私アイバがお相手したいのですが、残念なことに店頭におりません。
グランドセイコーと同じ長野産、店長荒井がお相手しますのでよろしくお願いします。